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設立への想い

代表理事ご挨拶 ~私が全寮制インターナショナルスクールを創る3つの理由~

小林 りん

写真:小林 りん

情熱と使命感をもったチェンジメーカーの必要性

富裕層に有利な税制、選挙のたびに買収される貧困層の票、未来に失望し母国を去る中間層…。国連職員として駐在していたフィリピンで見る現実は、「貧困層の教育水準向上こそが、選挙を通じて国家の変革を導いていく」というこれまでの私の考えを、根本から揺さぶるものでした。貧困層教育はもちろん重要です。しかし、社会が大きく変わるためには、リーダー層の教育も不可欠なのではないでしょうか。
新たな時代を率いるリーダーを必要としているのは発展途上国だけではありません。日本のように、国民全体の教育水準が極めて高く労働者の質の高さを世界に誇るような国家でさえも、昨今の世界の大きな変化のうねりの中でそのポジショニングを問われはじめています。
リーダーは必ずしも政治家や起業家である必要はありません。人は生まれながらにして、ひとりひとり特有の才能をもっています。その才能を信じ、リスクや変化を恐れることなく、新しい価値観を生みだすことに喜びを見いだせるような人間こそが、各分野のチェンジメーカーとして新しい時代を担っていくと信じています。

才能を自覚する場としての学校の必要性

実は、私自身がはじめて理想の教育について考えはじめ、単身での留学を決意したのは、もう20年近く前の高校1年生の夏でした。当時年間に100人を超える生徒を東大へ送り出していたその高校では、自由な校風を大切にしつつも、やはり受験を意識して苦手科目の克服に焦点があてられがちでした。「もっと自分の得意分野を伸ばし、人格的にも成長する機会が十分に得られるような環境に身を置きたい。」そんなしたたかな思いと根拠のない自信が、私に、せっかく合格したばかりの国立の進学校をそそくさと辞め、カナダの全寮制高校へ単身留学する決意をさせたのです。
カナダの高校では、国際バカロレアが必須カリキュラムでした。科目ごとに2から最大4までのレベルがあり、生徒は自分の得手不得手にあわせ独自の時間割を構成します。私は経済学、スペイン語、数学で上級レベルを選択しましたが、例えば経済学のクラスでは、卒業試験で選択問題を何十問も解いた後、記述問題を3時間、さらには小論文まで課せられ、試験は複数日にも及びました。どの科目の試験も、知識や暗記だけでは到底たちうちできる種類のものではなく、自分の好きな教科をとことんモノにできる喜びをはじめて知った気がしました。

全人格的教育の必要性

人の才能は、勉学の中でだけ見つかるものとは限りません。そして、社会で頭角を表すために必要とされるのも頭脳の明晰さだけではありません。自分の独創的なアイディアを周囲に伝えて実現したり、異なる意見をきちんと咀嚼してまとめたりするには、総合的な人間力が問われます。
私達が全寮制、そしてインターナショナルスクールにこだわるのは、まさにこのためです。文化や宗教や考え方の多様性は、説明されるだけでピンとくるようなものでは決してなく、実際の生活の中でその違いを体感してこそ、はじめて理解できるものだと思うからです。私が通ったカナダの学校には、マレーシア出身の非常に敬虔なイスラム教徒の女の子がいましたが、彼女は私の知る限り最も穏やかな人物の一人で、彼女との出会いによって、その後の度重なるテロ報道を見ても私の中に決してイスラム教への偏見が芽生えることはありませんでした。
中学・高校という多感な時期に、各国から集まる優秀な生徒同士が互いに学び合うことの意義は計り知れません。学校では奨学金の給付を通じて、子ども達の社会経済的バックグラウンドにも多様性をもたせたいと考えています。新しい時代を担う様々な国の子ども達が、互いの才能を心から尊敬できる、そして切磋琢磨できる学び舎を、皆さんと一緒に創らせて頂きたいと思っております。

経歴

代表理事:小林 りん(こばやし りん)

経団連からの全額奨学金をうけて、カナダの全寮制インターナショナルスクールに留学した経験を持つ。その原体験から、大学では開発経済を学び、前職では国連児童基金(UNICEF)のプログラムオフィサーとしてフィリピンに駐在、ストリートチルドレンの非公式教育に携わる。2007年に発起人代表の谷家衛氏と出会い、学校設立をライフワークとすることを決意、2008年8月に帰国。
1993年国際バカロレアディプロマ資格取得、1998年東大経済学部卒、2005年スタンフォード大教育学部修士課程修了。

発起人代表 ご挨拶

谷家 衛

写真:谷家 衛大学卒業以来20年以上、一貫して投資事業に携わってきた私が、なぜ今インターナショナルスクールを設立しようと考えたのか。それは、日本や中国への投資を通じてどんな事業も結局は誰がやるかに尽きるということを痛感させられ、「高い志(マインド)と能力」を持つ人、特にこれからの世界の政治経済や文化の牽引役として重大な役割を担う「アジア」の「人」を育てることが日本や世界にとって最も大切なことだという思いが、抑え難いほどに強くなってきたからに他なりません。
アジアには、「マインドと能力」を持っているけれども、経済的な事情から十分な教育が受けられない子ども達が数多くいます。そうした子ども達こそ、日本人が忘れかけている逞しさやハングリー精神にあふれていて、機会さえ与えられればその力を如何なく発揮して新しい時代を担うリーダーへと成長していく宝物だと思います。
たとえば当財団のアドバイザーであるエアン・ショーさんは、少年期カンボジアの富裕な家庭に生まれたものの革命のために隠れ家での生活を強いられ、大変なご苦労をなさいました。命からがら亡命したパリで、チャリティー団体から衣類や食べ物等を受け取った時、もらったものの中で何より嬉しかったのは本だったそうです。その後、フランスの大学院で学び、現在マッキンゼージャパンの社長になられ、平均睡眠時間4時間の中、今でも1年に1度はカンボジアを訪れて職業訓練などの支援を続けておられます。
私たちは、軽井沢インターナショナルスクールにおいてエアンさんのようなアジアの子ども達をできるだけ多く育てていきたいと考えています。そのような子ども達に奨学金制度を通して日本に来てもらえば、豊かな環境の中で学べる喜びを感じながら自国あるいはアジアの発展への使命感を自覚して素晴らしい人生を創りあげていくと確信しています。そして、彼らが10代の多感な年頃を日本で学び、日本の子ども達はもとよりその家族の方々と接したり日本の文化に直接触れることで、日本の「ファン」になってくれることを望んでいます。彼らが自国に戻った後には、また大人になって様々な分野で成功した暁には、きっと日本との架け橋になってくれるでしょう。
一方、日本の子ども達も、こうしたアジアの子ども達と子どもの頃から生活を共にすることで日本人だけの学校では決して味わえない多様性の中で刺激を受け、グローバルな視点を持ち世界で活躍できる人間に成長していけると思います。日本のこれからの成長が益々アジア依存を高める中、子どもの頃からアジアの人々とのつながりを築いていくことは、次代を担う日本の子ども達にとって大きな財産となるにちがいありません。
とはいえこの学校がうまくいくかどうかも結局は誰がやるかに尽きます。代表理事の小林りんと出会った時、彼女が歩んできた経歴とまさにその「高い志(マインド)と能力」に強く感銘を受け、色々話をして学校を一緒に創っていくことになりました。彼女であれば応援してくださる皆様と一緒に必ずやアジアを代表する素晴らしい学校を創り上げていけると確信しています。

経歴

谷家 衛(たにや まもる) あすかアセットマネジメントCEO

ソロモンブラザーズ証券にて、東京支店最年少マネジング・ディレクターとして、日本及びアジアの自己勘定トレーディング部門を統括した後、東京オフィス創設中心メンバーとして、チューダーキャピタルジャパンを立ち上げる。
チューダーキャピタルジャパンをMBOし、あすかアセットマネジメントを創設。日本における独立系オルタナティブ投資顧問大手の先駆けとなる。その他、NGIGroupなどの非常勤取締役を務める。1983年灘高校、1987年東大法学部卒。

日本的教育理念についての私案